シズル感(sizzle)の意味とは?語源はホイラーの法則による5つの公式から!

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シズル感(sizzle)の意味とは??(ホイヤーの法則)
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こんにちは、隣雲(りんも)です。

広告や写真などデザインに携わる方は、「シズル感」という言葉をよく用いていると思います。

一般のビジネスでも、たまに耳にするかもしれませんね。

 

意味や語源を知ると、最終的な「売り」に繋げるまでの、全体の「売り方」が俯瞰できますよ!

「シズル感」とは?

私が以前、とあるカタログに乗せる写真撮影(ブツ撮り)の業務に携わったときのことです。

 

撮影中に担当カメラマンの方から、「うーん、シズル感がイマイチやなぁ」と漏れました。

つぶやきを拾った私は、「ん?シズル感ってなんですか?」と素人丸出しの質問を投げかけると、

 

「写真から、購買意欲が湧くような演出のことかなー」と教えていただきました。

その後も、似たような製作物の打ち合わせの際に「シズル感」はよく頻発するし、便利な言葉だな~と知った次第ですね。

 

・・・さてさて、「シズル(sizzle)」の一般的(辞書)の解釈は、こちらになります。

◆「シズル(sizzle)」の意味

《原義は、油で揚げたり、熱した鉄板に水を落としたときに、じゅうじゅう音を立てるさまの意》

広告表現で、消費者の五感に訴えて購買意欲をそそる手法。また、購買意欲。「都市生活者のシズル」「シズル感」

出典:コトバンク(デジタル大辞泉)

元々は、英語の擬音語である「sizzle」から派生した言葉で、その様子をあらわすために「感」がついたようですね。

 

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様子ではなく、「顧客の立場」に変換しよう(顧客志向へ)

前述のカメラマンさんの言葉で、「購買意欲が湧くような演出のこと」とありました。

広告やカタログの本質を考えると、「様子の描写」のみではちょっと物足りないですよね。

 

・・・製品中心の志向では、機能である「構造」や「作り」を念頭に置きがちですが、顧客目線で購買意欲が湧くとは限りません。

有名な「ステーキを売るな、シズルを売れ!」という格言は、その本質を言い表しています。

ステーキを売るなシズルを売れ

本質的な「シズル感」を理解するためにも、その語源を辿ってみましょう。

 

「ホイラーの法則」とは?・・・「シズル感」の出典

そもそも、この「シズル(sizzle)」という言葉を広めたのが、アメリカのエルマー・ホイラー(Elmer Wheeler)という方です。

エルマー・ホイラー

E.ホイラー(画像出典:公式サイト

ホイラーは、カメラマンやデザイナーではなく、一流のセールスから営業講師やコンサルタントとして活躍しました。

・・・特筆すべきは、「10万5000もの売り文句」を分析&「1900万人」に実験した、科学的な知見をまとめていることですね。

 

この「sizzle」が広まったきっかけは、後に全米でベストセラーになる一冊の本からでした。

 

「ステーキを売るな シズルを売れ!」Pan Rolling刊

 

1938年(!)が初版の原書になりますが、現在でも日本語訳(初版は2012年)での入手が可能です。

 

「Don’t Sell The Steak – Sell The Sizzle(ステーキを売るな、シズルを売れ!)」

・・・その後、格言として広く知られるようになった、ホイラーの名フレーズですね。

 

本書で、ホイラーが述べている「シズル(sizzle)」の定義は、下記となります。

◆ホイラーの「シズル(sizzle)」の定義

『「シズル」とは、ステーキをジュージューと焼く、あの音だ。

だが本書で言う「シズル」とは、あなたが売り込む商品の最大のセールスポイント、

言い換えるなら、お客様がそれを買いたくなる主要な理由のことである。』

出典:「ステーキを売るな シズルを売れ!」パンローリング刊

 

広大なアメリカで、現在のようにインターネットによる販売は、もちろんありません。笑

この頃に「通信販売(メールオーダー サービス)」と共に、人的な「訪問販売」や店舗での「接客販売」の技法が発達しています。

「ホイラーの5つの公式」・・・科学的に裏付けされた「セールストーク」の公式

ホイラーはそのような背景の中で、「セールストーク」の科学的な再現性を探求し続け、後世に伝わる公式を残しました。

 

・・・このように、元々「シズル(sizzle)」は、セールストークのコツとして使われ始めたんですよね。

本書では、科学的にまとめた知見として、「大多数の人に買わせるフレーズ(5つの公式)」を紹介しています。

 

「ホイラーの5つの公式」・・・科学的な「セールストーク」の公式

本書の冒頭にて、ホイラーは「牛には決してできないほど」、シズル(sizzle)を用いてたくさんのステーキを売ったと豪語しています。笑

いわば「牛肉という商品そのもの」で訴求しないほうが、段違いに売れるということですね。

 

ホイラーは「商品そのもの」から、もう一歩も二歩も進めた「シズル(sizzle)」を見つけて、購入(クロージング)までの流れをステップ別に解説しています。

それが、「ホイラーの5つの公式」です。

◆「ホイラーの5つの公式」

第一条 ステーキを売るな、シズルを売れ!
第二条 手紙を書くな、電報を打て!
第三条 花を添えて言え!
第四条 もしもと聞くな、どちらと聞け!
第五条 吠え声に気をつけろ!

出典:「ステーキを売るな シズルを売れ!」パンローリング刊

5つの表題だけでも、何だか面白そうな感じがします。笑

先ほどのホイラーの言葉ではありませんが、「お客様がそれを買いたくなる主要な理由」を述べて、速やかにクロージングに繋げる為の法則です。

 

一般的な「シズル(sizzle)」のような様子の描写(≒シズル感)では、ちょっと役不足なことは明白です。

各項目ごとに事例を交えた解説がされていますが、気になる方は本書をお求めくださいませ。

 

・・・とは言いつつ、5項目の概要だけ記しておきますね。

 

第一条 ステーキを売るな、シズルを売れ!

販売するあらゆる商品には、「シズル(sizzle)」が隠されています

それらを見つけ出して、セールスに生かそうというものです。

シズル(sizzle)はお客様がそれを買いたくなる主要な理由のこと

先ずは、お客様にシズルを投げかけて、購買意欲をかきたてましょう

その後であれば、必要な機能的な説明にも、楽に入っていけると述べています。

 

第二条 手紙を書くな、電報を打て!

これは、セールスのフレーズを少ない言葉で完結に表現しよう!、ということを「電報」に例えています。

普段の私たちも、店員さんとの最初の何秒間で「即断」しがちですよね。

手紙を書くな、電報を打て!(ホイラーの5つの公式)

わずかな勝負の時間の中で、簡潔に好意的な注意を引きつける重要な段階となります。

 

第三条 花を添えて言え!

個人的には、この表題が一番面白い表現だと思いました。

これは実際に何かしらのプレゼントを渡すという意味ではありません

花を添えて言え!(ホイラーの5つの公式)

お客さまに話す内容に、できるだけ証拠(スペックやデータ)に加え、身振りを添えて強化しましょう!ということです。

 

両手もしくは、空いている方の手を使って話されたら、すごく丁寧な感じがしますよね!

・・・しかし、ホイラー曰く「ふまじめな役者になれと言っているのではない」そうです。笑

 

第四条 もしもと聞くな、どちらと聞け!

ここで、心理学っぽい項目が出てきました。

意味するところは、お客様に対しては常に「買うか買わないかを迫るべきではない」となります。

 

では、どのように振舞えばよいのでしょか?

ホイラーは、慎重に言葉を組み立てながら、「どちらかを選ばせようとする」ことを推奨しています。

もしもと聞くな、どちらと聞け!(ホイラーの5つの公式)

これは、心理学の「ダブルバインド(Double bind)」に当たるのでしょう。

・・・よく、恋愛や催眠をテーマにした心理学ネタで出てくるものですね。笑

 

本書では「どちら」と聞くだけでなく、他に「いつ」「どこで」「どうして」といった応用も紹介されています。

 

第五条 吠え声に気をつけろ!

こちらも、また面白い表現ですね。

本書でホイラーは、「子犬」を例えに用いて、その表現力を称賛しています。

 

子犬は、その吠え声としっぽで心の中の多くを表現して、全身で相手に伝えようとします

吠え声に気をつけろ!(ホイラーの5つの公式)

この「吠え声」は原文のもので、「鳴き声」として解釈してもOKでしょう。

 

ホイラーが具体的に推奨している「吠え声」は、「ほほ笑みをふくんだ声」です。

・・・加えて「不誠実に聞こえないように」と注意も促していますので、ご留意を。笑

 

顧客志向の「ユー能力」を身につけよう

顧客志向の「ユー能力」を身につけよう(エルマー・ホイヤー)

 

繰り返しになりますが、「シズル(sizzle)」は、様子の描写(≒シズル感)になりがちです。

・・・それでは、「買いたくなる理由」に昇華させるにはどうしたら良いのか?

 

この疑問に対して、ホイラーは「ユー能力」を推奨しています。

◆「ユー能力」とは

『あなたがお客様に商品を見せて一生懸命説明しているとき、お客様の心をよぎるのは、次の大きな疑問である。

「それは私にどう役立つのだろうか?」

あなたの言うこと、やることのすべては、常にこの大きな疑問に答えるような形でなされなければならない!

(中略)

「ユー能力」とは、(中略)お客様の目を通して自分の商品を見る能力である。』

出典:「ステーキを売るな シズルを売れ!」パンローリング刊

この「ユー能力」は、製品志向(プロダクトアウト)ではなく、「顧客志向(マーケットイン)」とも近しい概念ですね。

また、以前紹介したT.レビットの「マーケティング・マイオピア(近視眼)」や「顧客ニーズ」とも近接しています。

 

自分を主体にする表現(事業ドメイン~商品訴求)は容易ですが、相手側に立つのがいかに難しいかが分かりますね・・・

 

隣雲の硯(りんものすずり/この記事のまとめ)

隣雲の硯(りんものすずり/この記事のまとめ)

「シズル(sizzle)」の本質を求めて、語源であるエルマー・ホイラーの「5つの公式」にまで遡りました。

そして、「ステーキを売るな シズルを売れ!」という格言の本質こそが、最後に紹介した「ユー能力」だと思います。

 

ホイラーが著作で提唱したのは1939年とはいえ、約80年前(2018年現在から)の視点は未だに散見される問題です。

「大量生産・大量消費」の時代でも、自分が起点の「製品志向(プロダクトアウト)」では既に売り難かった(!)ことも示唆しています。

 

・・・商品を販売する際に陥る問題は、古今東西あまり変わらないような気がします。

 

約2000年前に編纂された古典の「論語」にも、この問題を象徴するような章句があります。

『子貢が曰く、斯(ここ)に美玉あり、櫃(ひつ)に韞(おさ)めて諸(こ)れを蔵せんか、
善賈(ぜんこ)を求めて諸れを沽(う)らんか。
子の曰わくこれを沽らんかな、これを沽らんかな。我れは賈を待つ者なり』̪子罕第九の十三 / 9-13

◆子貢がいった、「ここに美しい玉があるとします。箱に入れてしまいこんでおきましょうか、
よい買い手を探して売りましょうか。」
先生はいわれた、「売ろうよ、売ろうよ。わたくしは買い手を待っているのだ。」

出典:『論語 金谷治訳注』岩波文庫

文中で先生と呼ばれている孔子は、当時の「政治コンサルタント」でしたが、結局は自分の理想的な政治を実現できませんでした。

孔子は「自分の価値」を、各国の為政者に伝えきる事ができなかったことが起因しています。

 

現在に限らず、アメリカの「大量生産・大量消費」や、中国の古典の世界でも、自分視点の価値では伝わり切らないものですね。

これだけ様々な箇所で散見されるのなら、もう人間の根源的な「クセ」そのものですよ、これ。

 

・・・しかし先人(ホイラー)が「ユー能力」のような、価値の変換を提示してくれています。

現在は「シズル(sizzle)」などの本質にまで発達しているので、幸せな時代になりましたよね。笑

 

使うか使わないかは、私たちの判断に委ねられています!

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隣雲(りんも)

隣雲(りんも)

こんにちは、隣雲(りんも)です。
私は東洋思想とマーケティングが好きな、アラフォーの日本人です。

声の大きい狡賢い人よりも、徳の高い人こそが報われる世界があったら良いなと思っています。

・・・私の好きな『論語』に「徳は弧ならず、必ず隣有り」という一節がありますが、
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